エスカオロジーを定義づけて以来、その行く先を「エスカオロジー概念の既存教育プログラムへの組み入れ」を提唱してきたが、これを実現するためには大きなエネルギーが必要であるので、もう少し分相応のことから始めるべきであろうと反省している。以来、もう少し自分ごととして、食を通じて健康科学に貢献できることはないだろうか、といった自問自答を繰り返してきた。突破口は福澤諭吉大先生の有名な書「学問のすゝめ」の現代語訳版(ちくま新書;齋藤孝訳)との出会いにある。ここに次のような記述がある。「目から鱗(うろこ)が落ちる」である。

---信じる、疑うということについては、取捨選択のための判断力が必要なのだ。学問と言うのは、この判断力を確立するためにあるのではないだろうか。---

 当然のことながら、信、疑、選択は「食」と言う課題にとって極めて重要である。つまるところ、エスカオロジーの目指すところは"食の"「学問のすゝめ」そのものではないか。例えば、「選択」に焦点を合わせると、日常的な食べ方のくせ、即ち食の選択行為(選択の仕方)の意味付けが見えてくる。よく言われるバランスである。

 一方、ヒトのホメオスタシス(Homeostasis:恒常性)は、健常⇔前病(未病)状態でバランスが取られている。これが崩れると疾病状態へと移行するが、食に対する選択的行為を中心とするライフスタイルがバランスの傾き方を決めていると言っても過言ではない。当然のことながら、疾病方向へと進行してしまうと、食ではなく医薬でないと恒常性を回復できなくなる。

 もし、健康なときから個々人の情報を、食べ方のくせ(選択)と不健康状態の検査分析結果とを統合させてデータベース化しておくことができると、未病対策として「食」をどのように位置付ければよいか、という助言(生活改善情報)が得られるはずである。これは言わばヒトの健康科学のためにバイオ(Bio)リソース(resource:資源)とフード(Food)リソースに焦点を当てて、両リソースの関連情報を長期にわたって集積しようという企てである。この集団に参画する人数が多く、期間が長くなれば、保健疫学的な意味合いは大きく大規模コホートが形成される。この様な経緯から、一般社団法人健康科学リソースセンター(非営利団体)が設立された(平成22年2月22日)。英語呼称がResource Center for Health ScienceであることからRECHSと略称されている。

松尾雄志(平成22年11月14日)



RECHSの事業報告(近日中にアップの予定)