2015年版「日本人の食事摂取基準」が公示されました。10年ぶりの改定です。以下はその感想です。
(1)エネルギーの指標がkcalではなくBMIに
・高齢者のBMIでは高めの人よりも、低めの虚弱(Frailty)が懸念されています。
(2)食塩の目標量は引き下げ
・明らかにとり過ぎで(不足を心配する必要はないので)、推奨量は設定せず。
(3)コレステロールの目標量は無くなる
・摂取制限で起こる高齢者の低栄養対策を考慮。
(メタアナリシスでは冠状動脈疾患の予防効果が明確ではない)
・必須脂肪酸(n-6/n-3系)と飽和脂肪酸が重要で、トランス脂肪酸やEPA/DHAなど些末なことを気にしないように、と記されている。
(4)食物繊維では小児も目標量設定
・生活習慣病胎児期発症(DOHaD/ドーハド)説が根拠になっている。
・但し、サプリ等で過剰に摂取してもより多くの健康利益は無い、と記されている。
全般的に食品成分の個別の機能性について慎重であることがうかがわれます。
また、参考文献から、これまでの健康栄養研究から脱皮しつつあり、科学的根拠(データ)に基づいた設定がなされています。(10年前の)「鉛筆なめなめ作業」が大幅に減ったというコメントも聞かれます。
詳しくは「厚生労働省:日本人の食事摂取基準」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/shokuji_kijyun.html を参照ください。