weblog:先制医療と食(1)

目下、雑誌「臨床化学」の特集号で「先制医療実現に必要なバイオリソース/データバンク:夢の実現に向けて」の原稿に取組んでいます。一言で云えば、どのような先制診断を行い、どのような対策(治療)を取るか、そしてそれをどのような方法で検証/確立するか、が課題です。バイオマーカーと疫学的調査情報が重要ですが、日本には健常人のコホート研究のできるバイオバンクはありません(疾患のバイオバンクはあります)。病気と関係する何かを見つけても、それがその病気に特異的なことなのかどうかを健常者と比較できなければ、使い物にはなりません。話題のマイクロRNAによる癌診断も同じことです。一昔前は、早く診断できても、治療方法が同調して進展していなければ「あなたは体のどこかに癌があります」と言われて、余計な苦労をしょい込むことになるだけです。癌に関しては、幸い早期診断で早期治療することができるようになりつつあります。他にも気になる病気があります。糖尿病、ウツ病、認知機能低下症(典型例はアルツハイマー)などはどうでしょうか。どうやら、医食同源の病気と、早期治療介入の必要な病気の二つに分かれそうです。前者の方で気になることがあります。恐らく数年後には「食習慣は極めて重要因子」になるので、食べることに今よりも神経を使わなければならなくなるでしょう。身体に良いモノを追求する(悪いものを排除する)傾向が強くなります。これはこれでとても危険で「あれはよくない、これは身体に良くない、これはどうだ」などという生活をしているとストレス死してしまうでしょう。「体に悪いと分かっていることが一つくらいあっても良い」という生き方も大事です。先制医療が進むと「その人の人生観」を基盤とするライフスタイルが鍵となってきます。(動機づけに続く)