日本人の食事摂取基準が大幅に改定されました

2015年版「日本人の食事摂取基準」が公示されました。10年ぶりの改定です。以下はその感想です。
(1)エネルギーの指標がkcalではなくBMIに
・高齢者のBMIでは高めの人よりも、低めの虚弱(Frailty)が懸念されています。
(2)食塩の目標量は引き下げ
・明らかにとり過ぎで(不足を心配する必要はないので)、推奨量は設定せず。
(3)コレステロールの目標量は無くなる
・摂取制限で起こる高齢者の低栄養対策を考慮。
(メタアナリシスでは冠状動脈疾患の予防効果が明確ではない)
・必須脂肪酸(n-6/n-3系)と飽和脂肪酸が重要で、トランス脂肪酸やEPA/DHAなど些末なことを気にしないように、と記されている。
(4)食物繊維では小児も目標量設定
・生活習慣病胎児期発症(DOHaD/ドーハド)説が根拠になっている。
・但し、サプリ等で過剰に摂取してもより多くの健康利益は無い、と記されている。
全般的に食品成分の個別の機能性について慎重であることがうかがわれます。
また、参考文献から、これまでの健康栄養研究から脱皮しつつあり、科学的根拠(データ)に基づいた設定がなされています。(10年前の)「鉛筆なめなめ作業」が大幅に減ったというコメントも聞かれます。
詳しくは「厚生労働省:日本人の食事摂取基準」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/shokuji_kijyun.html を参照ください。

松永和紀さんの講演会のお知らせ

「メディア・バイアス:あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞を受賞された松永和紀さんの講演会が6月5日に津駅に隣接する「ホテルグリーンパーク津」で開催されます。「機能性表示食品」がメインテーマです。地域産業における意味と消費者が学ぶべきことを話題にして頂きます。添付案内をご覧ください。松永先生講演会のご案内(5.3.15)

やっと春がきました。

クロッカスは咲きましたが、チューリップは未だです。等と言っている間に夏になってしまいます。北米の春は短いです。

英語ついでに食品類の賞味期限の英語表現です。英語では例えば “Best before  better after  Aug. 1st 2015″ と表わされます。日本語表現では8月1日を過ぎると賞味ががたっと落ちて食べない方が良いような感じを持ちます。英語では、better なので、自分が判断して食べるか捨てるかすれば良い、ということになります。もう一つの例として道路標識に見かける「落石」を挙げます。英語では”Fallen Rocks” あるいは “Falling Rocks” のどちらかが使われます。つまり、落ちて道路上にある石と落ちてくる石が区別されています。日本語ではどちらかあいまいです。でも、どちらも落石の二語で表現できるので、便利かもしれません。どちらの言語が科学に向いているかは論を待ちません。ではまたの機会に。

コロッカス